デジタルマーケティングが市民権を得る中で、多くの私たちがWebサイトを訪れるときの不思議な現象に気づいたことがあるでしょう。
「Cookieに同意します・同意しません」と。
それは、Webブラウザにユーザーのサイト訪問情報や入力データを一時保存する為に我々の見ている画面に表示されます。
しかし、多くのユーザーから「勝手に個人情報を使われている」「監視されている」という印象を受けてきました。
その結果、国際的な規制が進められ、EUやアメリカ・カリフォルニア州では「GDPR」「CCPA」(プライバシー保護法プライバシー保護法)が生まれました。
そして、日本でもリクナビ問題など、Cookieを巡る議論が取り沙汰されています。
こうした背景を受けて、マーケティングの現場での動きはどう変わるのでしょうか。
Cookie規制の動き
私たちが日常的に利用するウェブブラウザは、近年、ユーザーのプライバシー保護を重視する動きを見せています。
それぞれのブラウザは、この課題にどのように取り組んでいるのでしょうか。
今回は2023年時点で、4つの主要ブラウザの取り組みとシェア数を簡単にご紹介します。
1. Chrome シェア数:50.36%
Googleが提供するChromeは、2024年後半から「サードパーティーCookie」の使用を順次廃止すると発表しています。
2. Safari シェア数:29.31%
AppleのSafariは、プライバシー保護という企業理念のもと、Cookieを全面廃止しました。
3. Edge シェア数:13.38%
MicrosoftのEdgeでは、「追跡防止」機能を活用し、悪意のあるトラッカーをブロックする取り組みを行っています。
4. Firefox シェア数:3.53%
Firefoxは、デフォルトの設定でトラッカーのCookieをブロックします。
これら4つのブラウザが合計で96.58%のシェアを持っていることから、サードパーティーCookieの利用が難しくなると、その影響は非常に大きいと言えます。
ではどんな影響があるのか見ていきましょう。
Cookie規制がWebマーケティングに与える影響
日本では、規制の影響はまだ一部のブラウザにとどまっています。
しかし、株式会社イルグルムが2021年に行った調査によれば、マーケターの87.1%が既にCookie規制の影響を実感しています。
具体的には、「エンゲージメント低下」や「広告のブロックや無視」などが挙げられます。
- エンゲージメント低下
- ターゲティングの精度が低下すると、ユーザーにとって関連性の低い広告が増える可能性が高いです。これにより、ユーザーのサイトやアプリへの興味やエンゲージメントが低下するかもしれません。
- 広告のブロックや無視
- 不適切な広告が増えることで、ユーザーが広告を無視する傾向が強まり、あるいは広告ブロッカーを使用し始めてしまうことも起こりえます。
- ブランドイメージの悪化
- ユーザーにとって無関係または不適切な広告が頻繁に表示されることで、広告主のブランドイメージや信頼性が損なわれることに注意が必要です。
- コンバージョン率の悪化
- 広告の関連性が低くなる可能性があるため、クリック率やコンバージョン率が落ち込み、ROI(投資対効果)も低下するリスクもあります。
- ユーザーの信頼喪失
- 関連性の低い広告などが無駄に繰り返し表示されると、ユーザーが不信感を抱くようになってしまいます。結果的に、ブランドやプラットフォームに対する信頼を失う結果につながります。
これらの影響は、広告主やマーケターだけでなく、広告を表示するプラットフォームやメディアにとっても大きな問題となり得ます。
Cookie規制前の考え方や、プラットフォームの広告の在り方のままで、ユーザーにミスマッチの広告を配信している企業も少なくありません。
この問題が深刻化する前に、今一度規制と現状のマーケティングに向き合う必要があります。
質の高いマーケティングを実現するには
これをチャンスと捉え、効果的な戦略を磨くことが今後の課題であることは明確です。
特に今後期待されるのは、
- 目的志向性
- 顧客中心性
- 継続的な最適化
- 統合的なアプローチ
- 関係の構築
- 創造的な戦略とコンテンツ
- 倫理的かつ透明性
といったCookie規制を超える質の高いマーケティングの実現です。
- 目的志向性:
- マーケティング活動において明確なビジネス目的や目標を再認識し、それに沿った戦略を自覚・再考する。
- 顧客中心性:
- 顧客のニーズや問題点を深く理解し、それを満たすソリューションを提供する。顧客の声を活用して製品やサービスの改善を図る。
- 継続的な最適化:
- マーケティング活動の効果を定期的に分析・評価し、改善点や新しい機会を常に探し続ける。
- 統合的なアプローチ:
- オンラインとオフライン、さまざまなチャネルやメディアを統合的に活用して、顧客に一貫したメッセージや経験を提供する。
- 関係の構築:
- 一時的な取引や売上だけを追求するのではなく、顧客との長期的な関係を構築・維持するための取り組みをする。
- 創造的な戦略とコンテンツ:
- ユニークで魅力的なコンテンツやキャンペーンを提供し、顧客の心をつかむ。
- 倫理的かつ透明性:
- 顧客のプライバシーを尊重し、誤解を招くような広告や宣伝を避ける。また、社会的・環境的な責任を果たす活動も取り入れる。
おわりに
デジタルマーケティングの世界は常に変わっています。Cookie規制を乗り越え、新しいマーケティング手法を求め続けることが必要です。