そもそもBIMIとは?
BIMIという規格があります。「Brand Indicators for Message Identification」の略で、直訳すると「メッセージを識別するためのブランド表示」というようなところでしょうか。スパム業者による企業のなりすましメールを防ぐための技術です。
例えば私のもとには日に十数通以上、某通販サイトを名乗る業者から「あなたのアカウントが停止されたので以下のリンクをクリックして解除作業を云々」という内容のメールが届きますが、BIMIに対応しているメールの場合、タイトル脇に企業ロゴが表示されているため、スパムかそうじゃないか、すぐに見分ける事ができます。
BIMIを導入することによる、ECブランドにとってメリット
受信者にとって、メールクライアントの受信箱がスパムだらけになる鬱陶しさから救われるメリットがありますが、企業にとっても、
- 受信トレイでのブランド露出
- メール マーケティング エンゲージメントの向上の可能性
といったメリットがあります。
メールを開かなくともブランドロゴが認識されたり、「これは安心して開けるメールだ」と読む前から認識されるというのは、それだけでも強みになるのです。
そのメリットに関して、practicalecommerce.com の記事では以下のように記されています。
Entrust社とRed Shift社による2021年7月のレポートでは、BIMIを追加するとエンゲージメントが21%上昇、ブランド想起率が18%向上、平均購入可能性が34%上昇しました。
Yahoo Mailによる 2018年3月のテストでは、エンゲージメントが 10%増加したことが示されました。
それでは、実際にBIMIを導入するにはどのようにしたら良いでしょうか。
BIMIの導入手順
実際の導入手順は以下のとおりです。
- SPF・DKIM・DMARCを設定する
これは大まかに言うと、メールを送信しているドメインが間違いなくその会社のものである、という証明だと考えていただければいいと思います。
これらの設定にあたっては、基本的にはDNSに対応したレコードを追加していく事になります。
(参照:https://www.digicert.com/content/dam/digicert/jp/pdfs/guide/dmarc-guide-jp.pdf) - ロゴをSVG形式で作成する
Illustratorや変換ツールなどでロゴデータを作成(SVG 1.2 Tiny 推奨)してサーバ上にアップロードします。
ロゴは、正方形で、容量が32 KB未満、無地の背景である必要があり、またメールクライアントによって丸く切り抜いた形で表示される可能性がありますので、それを念頭に作成します。 - ロゴの証明書(VMC)を取得する
こちらは必須ではありませんが、メールクライアントによってはロゴを表示する際にVMCが必要になります。
VMCの発行にあたっては、商標登録済みのロゴを用意し、認証局(CA)である DigiCert または Entrust に VMC を申請します。
商標登録には数ヶ月に及ぶ期間がかかりますが、BIMI規格では現在、商標登録されていないロゴを含むように拡張中であるため、規格の変更を待つという方法もあるかもしれません。 - BIMIを設定
BIMI用のレコードをDNSに追加します。
参照:https://support.google.com/a/answer/10911321
設定が完了したら、BIMI Inspectorなどを利用して設定が正しく反映されているか確認しましょう。
最後に
BIMIはまだメジャーとはいえない規格ではありますが、余裕がある時期に検討をしてみてもいいかもしれません。
先に紹介した記事では、次のような言葉で締めくくられていました。
2023年には、BIMIを導入することが同業他社との競争に有利に働くようになり、一般化する可能性があります。その場合、導入していないことはデメリットとなるでしょう。